日本郵政の宿泊保養施設「かんぽの宿」の一括売却問題で、七十の宿泊施設の固定資産税評価額総額が計八百三十億円に上ることが判明、帳簿価格(計九十一億円)と比べ九倍に上ることが、十九日分かった。
野党は、今回のオリックス不動産への一括売却で、不当な安値で売却されようとしていたとの疑いを強め、国会で追及。日本郵政が、民主党の松野頼久衆院議員に提出した昨年の固定資産税評価額の資料で判明した。
さいたま新都心の複合施設「ラフレさいたま」の固定資産税評価額は八十五億円だったが、簿価は十五億円で七十億円も安くなっている。
首都圏にある九つの社宅は、固定資産税評価額は二十六億円、簿価は三十二億円だった。社宅を含めた七十九件全体の固定資産税評価額は、土地が二百五十三億円、建物が計六百三億円で、合計八百五十六億円。簿価は七分の一の百二十三億円だった。
民主党の川内博史氏は十九日の衆院予算委員会で「七分の一になるのはどうしてか」と日本郵政を批判。鳩山邦夫総務相は「事業譲渡ということですべてがおかしくなっている。価格があまりに違うことに私も驚いている」と同調した。
さらに、川内氏は利益が上がりにくい簡易保険加入者向けの福祉施設である「かんぽの宿」について、通常の宿泊施設に対する基準で簿価を評価したことはおかしいと主張。予算委員会でこの問題に関する集中審議を行うことを要求した。