暴力団追放運動リーダー襲撃事件は、鹿児島市西千石町の住民らが鹿児島地裁に起こした訴訟が18日までに終結したことで、一つの節目を迎えた。暴追リーダーの妹尾博隆さん(66)は「運動に終わりはない。今後も続けていく」と決意を語った。
2007年6月頃、鹿児島市西千石町の山口組系松同組の事務所ビルに鉄板が取り付けられるなどして、暴力団員風の男が出入りするようになった。妹尾さんが暴追運動に本格的に取り組み始めた直後、組関係者に尻を刺されて負傷。妹尾さんら住民はひるむことなく、毎月1回の暴追集会と組事務所周辺でのデモ行進を続けた。
県警による組長の松下光生被告(50)らの逮捕や、弁護団による法的な対抗策などの支援もあり、ビルは暴力団とは関係のない不動産会社が買収した。暴追運動が実を結んだことを受け、住民らは組事務所使用差し止めなどの訴訟の取り下げを鹿児島地裁に申し出ていた。組側が一部異議を申し出るなどしていたが、今月17、18日の口頭弁論で、同地裁が終結を言い渡した。
妹尾さんは18日、報道関係者の取材に応じ、「終結にほっとしているが、暴追運動が終わったとは思っていない。(松同組は)撤退したものの組織が壊滅したわけではなく、市内に別の組が進出するかもしれない。気を張り続けたい」と語った。今後、他地区で暴力団の進出が発覚した際には、暴追運動を支援したり、定期的な対策会議を開いたりするという。
一方、組側の代理人弁護士は、原告側の請求放棄で慰謝料の支払いができなかったとして、訴訟を起こすとしている。これについて、妹尾さんは「こちらからはどうしようもないこと」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20090219-OYT8T00151.htm