仕事や子育てなどで忙しい若い年代の女性を対象に、俳句の面白さを伝える句会が開かれている。中には子連れで参加する人もおり、季語や五七五の定型を通じて、若い世代が日本語のすばらしさに触れる貴重な機会にもなっている。
句会への参加を呼びかけたのは、昨年、「俳句のすすめ 若き母たちへ」(角川学芸出版)を刊行した俳人の西村和子さん(60)。「パラソル句会」と題した句会は、昨年10月に第1回を開催以来、2か月に1度行われている。今月7日の第3回句会には、首都圏を中心に26人が参加した。年齢は30〜40代が中心で、俳句歴は初心者から数年という人まで幅広い。
句会では各自がまず5句ずつ提出し、それを誰の作品か分からないようにした上で、参加者が手分けして清書する。次に、清書された句を回覧し、それぞれ良いと思った5句を選んだ後、全員の選句結果が読み上げられる。この日は、<クレヨンを握らせ吾子の筆始><受験子の校舎に消えるまで送る>とまさに子育てを詠んだ句から、<演説を待つ万人の息白し>といった社会的な出来事を詠んだものまで、様々な句が選ばれた。
小学5年生の娘、まり子さん(11)とともに愛知県から参加した高校教諭の吹原和子さん(40)は、「俳句を詠もうとすると、子育て中のいろんなことを思い出します」と話す。まり子さんも「俳句は17文字しかないのに情景が浮かんでくる。季語が重なったり、入らなかったり、難しいと思う時もあるけど、いい句ができるとうれしい」。育児休暇中だという都内の女性会社員(38)は、「子供を産んで引きこもり状態だったけれど、句会で元気をもらった。いつか子供と一緒に俳句をやるのが夢ですね」と楽しそうだった。
「子育て中だからこそ詠める句がある。俳句を通じて、自分を客観的に見つめることもできる」と西村さん。4月11日に行われる次回の句会は、都内で吟行する予定という。参加希望者は角川学芸出版内の「パラソル句会」担当((電)03・3817・8927)まで。(金巻有美)
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