指定暴力団稲川会の本部事務所移転問題で、移転先の3階建てビルがある東京都港区赤坂の住民ら157人が19日、稲川会の角田吉男会長と稲川会関連会社「協穂」(横浜市)に対し、暴力団事務所としての使用禁止を求め、東京地裁に仮処分申請した。
住民らの弁護団などによると、ビルと土地の所有権が申請直前の日付で協穂から港区の別の不動産会社に移転していたことが判明。弁護団長の村上泰弁護士は「場合によっては申請の要件を満たさなくなる可能性があるが、(稲川会側が)どう反論してくるかをみて対応を考えたい」としている。
弁護団によると、仮処分申請したのはビルの半径約500メートル以内に住む住民や、その範囲で飲食店などを営む事業者ら。暴力団の本部事務所使用をめぐる仮処分申請は福岡県久留米市の道仁会に続き2例目。
稲川会本部事務所は港区六本木にあったが、老朽化でビルが取り壊されることになり移転が必要になった。赤坂のビルは住民の反対運動などがあり、実際は暴力団事務所としては使われていなかった。稲川会は都内に別の物件を探しているとの情報もあり、警視庁が警戒している。