大阪府摂津市の駅前の市道で、80年以上前に設置された50センチしかない柵を越えて3メートル下の側道に転落し、四肢まひの後遺障害を負った女性(34)が、市に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は19日、約2000万円の支払いを命じた。
判決理由で、小林久起裁判長は「低く老朽化した安全性を欠いた柵を長期間放置した」と市の過失を認定。一方、女性が深く酒に酔っていたとして損害の8割を減額した。
柵はコンクリート製で1928年ごろに設置。旧建設省は98年、転落防止目的の柵は高さ110センチが標準と通達している。小林裁判長は「通達が直接適用されないとしても、人通りの多い場所には本来あってはならないはずの危険性が生じていた」と指摘した。
判決によると、女性は2006年5月29日未明、阪急正雀駅南口近くの市道を通行中、バランスを崩して柵を越え、側道に頭から転落、頸椎を骨折した。
市は「判決が届いていないので、コメントは差し控えたい」としている。