【ジュネーブ18日共同】世界貿易機関(WTO)事務局は十八日、外国から日本への直接投資促進や、農業分野の改革に向けた一段の努力を促す対日貿易政策審査報告を発表した。
報告は日本への直接投資について「対外投資に比べ相当程度低い状態が続いており、経済協力開発機構(OECD)主要国の中でも低い」と指摘。政府が二〇〇八年四月、英国系投資ファンドによる電源開発株追加取得に中止を勧告したことを例示し、対内投資促進へ一段の努力を求めた。
農業については「外国との競争から、他の部門より相対的に保護されている」と指摘。そのうえで、政府による農業の補助金水準は全体として「OECD諸国の平均を大きく上回り、(農業分野の)労働生産性は国の平均の四分の一にも満たない」と警告し、農業経営の効率化の遅れを強く問題視した。
一方、昨年秋の世界的な金融危機発生以降、多数の国で指摘されている保護貿易的な措置については、「日本による新たな措置はみられない」と評価した。
WTOは同報告書などを基に十八、二十の両日、対日審査会合を開催。各国から寄せられた七百件以上の質問項目に日本の代表団が答えるなど、質疑が交わされる。