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2009年02月19日(木) 09時47分

「暴行止めず」賠償命令 17歳死亡、現場の男性に8千万円東京新聞

 愛知県春日井市で2006年、当時17歳だった建築作業員の少年が、交際相手の少女と以前交際していた谷口博紀受刑者(22)=傷害致死罪で懲役7年=に暴行され死亡した事件で、同県小牧市に住む少年の父と母の2人が、暴行現場に一緒にいた小牧市の20代の男性を相手に、それぞれ約4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、名古屋地裁であった。長谷川恭弘裁判官は「男性に暴行を止めるべき法的義務があった」として、両親の訴えを認め、男性に計約8千万円と遅延損害金約400万円の支払いを命じた。

 大津市で集団暴行を受け死亡した男子高校生の遺族が、犯行を傍観していた少年らに損害賠償を求めた訴訟があるが、最高裁は昨年2月、違法性はないと判断し上告を棄却している。今回は男性が積極的に暴行に関与したことから認められた。

 判決理由で、同裁判官は、受刑者からの相談に、男性が「殴ったほうがいいよ」と発言したほか、自ら先のとがった革靴を貸したことで「暴行を容易にした」と認定。

 「激しい暴行が行われていることを知っていたのに、止めなかった。男性が暴行を止めていれば、少年が死亡することはなかった」と損害賠償責任があるとして、両親の主張を認めた。

 判決によると、少年は06年9月7日夜、春日井市内などで顔や腹などを殴られたりけられたりして、10日後に死亡。今回の被告男性は刑事処分を受けていない。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021990094740.html