文部科学省から立ち入り検査を受けた財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)の大久保浩副理事長が、関連会社4社への業務委託の承認を求める議案書を、検査の3日前になって協会の評議員会で示していたことが18日、分かった。
協会関係者からは、検査前に、父親の大久保昇理事長らが代表取締役を務める関連会社の存在が明らかになったため、過去の不透明な取引を後付けで承認してもらうことで正当化しようとしたとの見方が出ている。
評議員会では結局、この議案は「継続審議」となり保留された。
関係者によると、議案は「利益相反取引の承認について」と題して、今月6日の評議員会に決算書とともに提出された。
2008年12月に施行された一般社団・財団法人法は、理事が自分や第三者のために取引する場合に「利益相反取引」として事実を開示し、承認を得るよう定めている。議案は同法を引用し、委託業務の内容や理由、06年度以降の委託額を記して協会幹部の承認を求めた。
4社のうち、委託業務を再委託し、何もせずに利益を得た疑いが出ている広告関連会社「メディアボックス」については、「広告と広報に同一性が重要」として一括発注したと説明。3年間で約18億5500万円の広告換算効果があったと記していた。