共同通信社の世論調査で麻生内閣の支持率が13・4%に下落し、政権は崩壊の瀬戸際に立った。麻生太郎首相は新たな経済対策や首脳外交により政権浮揚を目指すが、郵政民営化見直し発言や中川昭一前財務相辞任の打撃は極めて大きく、失地回復は厳しいと言わざるを得ない。
今年秋までにある衆院選をにらみ、与党内からも二〇〇九年度予算成立後の首相退陣論がわき起こる公算が小さくない。首相がこの局面を乗り切るか、「麻生降ろし」により新首相が登場するかにかかわらず、速やかに衆院解散・総選挙に踏み切り、民意を得た政権が経済危機をはじめ喫緊の課題に対応すべきだ。
苦境を招いた大きな原因は、首相の粗雑な言動だ。特に、小泉純一郎元首相らの反発を呼んだ郵政民営化見直し発言は、二〇〇五年の郵政選挙で衆院の三分の二を獲得した与党の「正当性」を自ら否定してしまった。そんな首相が、定額給付金を実現するため衆院再議決に頼るのは全く筋が通らない。
さらに、最優先課題の経済政策を委ねた中川前財務相の辞任は、政権の統治能力に決定的な疑問符を付けた。盟友を重用するあまり適格性を見極められなかった不手際は批判を免れない。
福田政権で大連立協議が頓挫して以降、悲願の政権獲得にはやる民主党が国会運営で与党に協力する可能性は低い。経済危機への有効な対策を迅速に実行できる政権をつくるため、早急に民意を問うべきだ。首相が延命を狙って解散を先送りすれば、国民の