鳥取県の平井伸治知事は19日、罰則規定などに批判が相次ぎ施行されなかった人権侵害救済条例を廃止する一方、人権相談窓口の設置などを盛り込んだ「人権尊重の社会づくり条例」改正案を本会議に提出した。
人権侵害救済条例は、2005年に都道府県レベルでは初めて成立。人種差別や虐待、セクハラ(性的嫌がらせ)などを禁止し、加害者が勧告に従わない場合、過料など罰則も設けた。
だが、成立直後から行政の判断で加害者の氏名公表や罰則を科す内容に、県弁護士会などが恣意的な運用を懸念。07年10月、県の見直し検討委員会は「人権問題を広く対象とする人権救済条例は十分に機能しない」との意見書を提出した。
県は子どもの人権などに限定した条例案を新たに策定することも検討したが、誹謗中傷など証拠のない表現に対応するのは困難として断念。人権救済条例を廃止し、相談機能の充実を図ることにした。