日本郵政の宿泊保養施設「かんぽの宿」などの一括売却問題で、オリックス不動産への譲渡が凍結された七十九施設の、昨年の固定資産税評価額が計八百五十六億円で、帳簿価格合計(土地、建物)の百二十三億円と約七倍もの開きがあることが十八日、分かった。
さいたま新都心の十六階建て温泉付きホテル「ラフレさいたま」の簿価は十五億円で、固定資産税評価額は八十五億円だった。
日本郵政が松野頼久衆院議員(民主)に提出した資料で明らかになった。七十九施設の固定資産税評価額は土地が計二百五十三億円、建物が計六百三億円。昨年十二月の入札で、オリックス不動産が計百九億円で落札していた。百九億円の落札価格は鳩山邦夫総務相が「安すぎる」と指摘したが、日本郵政は「簿価より少し安い程度で適正」と説明していた。
日本郵政によると、簿価は不動産鑑定した額に、過去の収益性の低下を反映させる「減損処理」をした後の金額。民営化前の旧日本郵政公社は七十九施設の建設に計二千四百億円を投じたが、黒字転換が厳しい点などを勘案して減損処理された。固定資産税評価額は、地方税法に基づく土地、建物などの評価額。市町村長が決定し、固定資産税の課税標準となる。
松野議員は「簿価を承認した政府の郵政民営化承継財産評価委員会が開かれたのは三回だけで、いずれも三十−五十分と短時間。簿価が恣意(しい)的に安くされた疑いがある」としている。
■日本郵政の話 帳簿価格は政府の評価委員会の承認も受けており、適正である。
(東京新聞)