【メソト(タイ北西部)19日共同】ミャンマー国境に近いタイ北西部メソトでミャンマーから逃れてきた難民らを無料で診察する「メータオ診療所」が開設20周年を迎え、診療所内で19日に記念行事が行われた。大阪市出身の看護師、梶藍子さん(26)らスタッフや支援者が多数集まり、診療所を開設した女性のシンシア・マウン医師(49)の功績をたたえた。
シンシア・マウン医師は1988年、ミャンマー軍事政権の弾圧を受け、タイに避難。89年から難民を保護するため、粗末な小屋で診療を始めた。今ではメソトで生活する難民や不法移民のほか、国内で十分な治療を受けられずミャンマー各地から不法入国してくる人など、毎日約300人が診療所を訪れる。
この日も午前8時半の診療開始前から、多くの患者が待合室に並んでいた。記念式典でシンシア・マウン医師は「20周年は本当は喜べることではない。ここに集まるのは軍政の弾圧を逃れて来る人々だからです」と語り、一向に変わらないミャンマーの体制を変えるため、国際社会に支援を呼び掛けた。
07年からスタッフとして働く梶さんも「医療費が高額で払えない人がミャンマーから次々にやって来る。この診療所はいつまでもあるべきではないのだが」と複雑な心境を語った。