【ニューヨーク=阿部伸哉】米フロリダ州の喫煙者の遺族がたばこメーカーのフィリップモリス社を相手取り損害賠償を求めていた裁判で、同州フォートローダーデールの裁判所の陪審は18日、同社に800万ドル(約7億2千万円)の支払いを命じる評決を出した。
地元マイアミ・ヘラルド紙によると40年間喫煙していた夫=当時(55)=を12年前、肺がんで亡くしたエレーン・ヘスさん(63)と息子が原告となり同社に1億3千万ドルの支払いを求めて提訴。陪審は「会社が夫の健康を軽視した」との原告主張を認め、300万ドルの損害賠償に500万ドルの懲罰的賠償を加えた。同社は控訴する方針。
同州では、約70万人が集団でたばこメーカーを訴え、2000年に「メーカーは被害を知りながら消費者を中毒にした」として総額1450億ドルの米史上最大の賠償命令が出た。しかし2006年に州最高裁が「損害は個別に審理されるべきだ」として命令を破棄。今回はそれ以来、初の個別訴訟で、他に同様の訴訟約8千件が控えている。
(中日新聞)