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2009年02月19日(木) 00時00分

町工場画廊に衣替え読売新聞

「多くの人に萩原さんの作品を見てほしい」とPRする水田さん

 廃業した町工場を改装したギャラリーが、大田区の京浜急行「梅屋敷駅」近くに昨年秋、オープンし、絵画ファンが足を運んでいる。「S—TRAIN(ストレイン)」(大森西6)。建物の管理を任されていた水田登美子さん(59)が、油にまみれたコンクリートの床を木に張り替えるなど、温かい建物に改装した。「気軽に立ち寄っておしゃべりできる空間にしたい」と張り切っている。(佐々木大輔)

 建物は築約60年。長年、自動車や携帯電話の部品工場として使われてきた。約3年前、経営者の男性が体調を崩して休業。昨年秋に会社の再開を断念したため、水田さんが「地域の人たちが芸術に接して元気になってくれれば」とギャラリーへの衣替えを決めた。

 ギャラリー内は白い壁と木製の床に柔らかい照明が当たり、落ち着いた雰囲気に。天井も吹き抜けにして開放感を出した。一方で、「60年前の建築様式を生かし、町工場として使われてきた歴史を伝えたい」と、茶色のトタンが張られた外壁はそのまま残した。来場者が絵を鑑賞しながらくつろげるよう、ギャラリー中央には、大きな木のテーブルといすを置いた。

 常設の展示作品は、水田さんの弟で、カメラマンの修さん(52)と親交のある洋画家、萩原譲治さんの絵画約60点。花や富士山、都会のカフェの様子などを大胆にデフォルメし、鮮やかな色彩で表現している。萩原さんはフランスのルーブル美術館に出展するなど著名な洋画家だが、作品はこれまで、千葉県富里市の自宅兼ギャラリー以外で展示されることはほとんどなかったという。

 水田さんは「要望があれば、地域の人たちの作品発表などの場としても提供したい。ここに立ち寄った人たちに、笑顔で帰ってもらいたい」と話す。ギャラリーには修さんが運営する写真スタジオも併設され、記念写真の撮影も行っている。

 ギャラリーは入場無料で、午後1時から午後7時。月曜から水曜休み。写真スタジオは午前10時から午後7時(予約制。月曜、火曜休み)。同ギャラリー(電)080・5015・1921。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090219-OYT8T00128.htm