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2009年02月19日(木) 22時06分

仏が3100億円の緊急景気対策、労組側「不十分」と反発読売新聞

 【パリ=林路郎】フランスのサルコジ大統領は18日、総額26億5000万ユーロ(約3100億円)の緊急景気対策を実施すると発表した。

 仏全土で1月に行われた200万人規模の抗議デモを受けた措置だが、労働組合側は「まだ不十分だ」と反発しており、政権は苦境に立たされている。

 今回の対策は、〈1〉最低所得者層に対する所得減税の実施〈2〉弱者救済のため政労使による最大30億ユーロ規模の基金創設——など、社会的弱者や失業者の支援に重点を置く内容だ。

 これに対し、穏健派主要労組「仏民主主義労働同盟」のフランソワ・シェレク委員長は、「サラリーマンの生活を見れば不十分だ。政権への圧力を高める」と強い不満を表明した。主要労組は3月19日にも、全国で抗議行動を予定している。

 サルコジ大統領が懸念するのは、国民の不満が街頭行動の形で暴発しかねない不穏な空気が漂っていることだ。すでに本土から遠く離れたカリブ海の海外県グアドループでは、暴動が発生。仏メディアによると、現地では17日から18日にかけて、20%を超す失業率と物価高騰に抗議するデモに警官隊が発砲し、労組組合員1人が死亡、警官6人が負傷した。同じくカリブ海の海外県マルティニクでは5日からゼネストが続いており、事態がエスカレートしかねない情勢だ。

 パリの政界観測筋は、「仏経済の落ち込みは日本ほど深刻ではないが、何かをきっかけに全国規模で大衆が暴発する危険は常にある」と指摘している。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090219-OYT1T00932.htm