【ワシントン17日共同】オバマ米大統領は十七日、訪問先の西部コロラド州デンバーで七千八百七十億ドル(約七十二兆円)規模の景気対策法案に署名、同法は成立した。二年間で三百五十万人以上の雇用創出をうたう米史上最大規模の景気対策が始動、オバマ政権の経済危機克服に向けた取り組みは実行段階に入る。
最優先課題と位置付けてきた同法を成立させ、就任一カ月足らずで大きな実績を手にした大統領は「今日で経済危機が終わるわけではないが、終わりの始まりになる」と宣言、景気対策を皮切りに財政、金融政策を総動員し、危機克服を目指す決意を表明した。
米政府は既に、金融機関の不良資産買い取りなどを含む包括的な金融安定化策を発表。大統領は金融危機の発端となったサブプライムローンによる住宅差し押さえ防止策を十八日に打ち出す。
景気対策は約五千億ドルの財政支出と、中低所得層に配慮した減税が柱。生み出される雇用の90%以上は民間分野とされており、需要を下支えし、民間主導による景気回復を目指す。
米国製鉄鋼などの購入を義務付ける「バイ・アメリカン条項」は国際ルールを順守して適用するという修正が加えられたが、保護主義を助長するとの懸念が各国の間で依然くすぶっている。
議会での法案審議では大規模な財政支出に反対する共和党に配慮、一時九千億ドルを超えた予算規模が圧縮された。しかし共和党の賛成はごく一部にとどまり、党派政治の脱却を掲げる大統領が目指した超党派の合意はならなかった。