【デトロイト=池松洋】米政府から資金支援を受けている米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは17日、米財務省に経営再建計画をそれぞれ提出した。
世界で約25万人の従業員を抱えるGMは4万7000人の削減などのリストラを実施する。一方、資金繰りが悪化しているため、最大166億ドル(約1兆5000億円)の追加の資金支援を米政府に要請した。
実現すればGMへの支援総額は約300億ドル(約2兆8000億円)に膨らむ。2社の再建が失敗すれば、米国の自動車市場が一段と冷え込み、日本の自動車大手の業績不振に拍車をかけることも懸念される。
このほか、GMは米国内に47工場持っているが、昨年12月時点の計画より5工場を追加した計14工場を2012年までに閉鎖する。米国で販売している8ブランドもシボレー、キャデラックなど4ブランドに半減する。
また、米政府支援の条件となっていた、退職者向け医療費の負担や従業員の賃金など労働コストの削減についてGMは、全米自動車労働組合(UAW)との交渉は「(労働条件の変更などで)暫定的な合意に至った。3月末までの最終合意を目指す」としている。だが、具体的にどこまで交渉が進んだのかは不明だ。金融機関など債権者との借金を減らす交渉も17日までに合意に至っておらず、2社が破綻(はたん)する可能性は完全に払拭(ふっしょく)されていない。
だが、GMのワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)は記者会見で、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11章の活用について「リスクが大きく、費用もかさみ、再建に時間がかかる」と否定的な見方を示した。
一方、クライスラーは3000人を削減、50億ドルの追加支援を米政府に求めており、実現すれば支援総額は90億ドルに達する。さらに、伊自動車大手フィアットとの提携で、小型車開発や海外市場の開拓を進めるとしている。
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GMとクライスラーの経営再建計画の骨子
<GM>▽最大166億ドルの米政府への追加支援要請▽世界全体で4万7000人の従業員削減▽2012年までに計14工場を閉鎖▽8ブランドをシボレーなど4ブランドに削減
<クライスラー>▽伊自動車大手フィアットと提携▽50億ドルの追加支援を要請▽従業員3000人削減
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081209-206556/news/20090218-OYT1T00251.htm