九州電力が玄海原子力発電所3号機(玄海町)で今秋にも実施見込みのプルサーマル発電に使う混合酸化物(MOX)燃料の輸送に関し、古川知事と玄海町の岸本英雄町長は17日、九電に対する輸送の事前了解に前向きな姿勢を示した。(山田和男)
この日、同町で開かれた県原子力環境安全連絡協議会(会長・古川知事)の終了後、古川知事は「国際基準に従って厳しいチェックが行われているのがわかった。国で厳正な安全確認を行っていただいたうえで、(事前了解について)判断したい」、岸本町長は「一定の安全ステップを踏んでいただいたのでは」と述べた。
協議会では、玄海原発の村島正康所長が、3号機向けのMOX燃料の製造(1回目)が完了し、欧州から専用船で海上輸送して搬入する予定——などと現況を説明。輸送の安全確保のため審査している国土交通省海事局検査測度課の近藤敏和・危険物輸送対策官は、火災時に水を張る装置があり、貨物倉が二重になっているなど、輸送船が国際的な安全基準を取り入れていることを紹介した。
質疑では、城野正則・県くらし環境本部長が〈1〉MOX燃料が落下して変形、臨界の恐れがあるという声がある〈2〉これまで船舶輸送で、放射性物質が環境に影響を与える事故はあったか——などと質問。近藤対策官は〈1〉について、事業者が行った実物大の模擬燃料集合体の落下試験の結果、臨界に達する恐れはほとんどなく、安全性は確保されているとの報告を受けている、〈2〉については「ない」と回答した。
協議会は周辺市町、漁業団体の代表ら18人で構成、原子力発電の安全性について年に2回協議している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20090217-OYT8T01011.htm