瀬戸内しまなみ海道沿線にある造り酒屋「備南酒造」(尾道市因島田熊町)で、昔ながらの「槽(ふね)」を使った新酒の搾りがピークを迎えている。
朝、杜氏(とうじ)を務める藤本久子社長(78)や蔵人らが仕込みタンクから吸い上げたもろみを搾り袋に入れ、ヒノキづくりの槽に丁寧に積み重ねていった。袋の重みで乳白色の新酒がさらさらと流れ出すと、酒蔵につんと甘い香りが立ち込めた。
1913(大正2)年の創業以来、こだわってきた伝統製法。28日には恒例の新酒祭りを開き、訪れた人たちに搾りたての酒を振る舞う。
【写真説明】発酵したもろみを詰めた木綿袋を槽の中で重ねる蔵人たち。その重みで新酒が搾り出される