安芸高田市吉田町の精神障害者の作業所「貴船ハウス」(新田義明施設長)の通所者たちが、同市高宮町で竹炭製造に励んでいる。作業所の請負作業が車産業の低迷を受け激減したため、新たな収益事業として乗り出した。
貴船ハウスはこれまで車用ゴム製品の仕上げ加工で総収益の約2割強を上げてきたが、車関連の下請け企業の休業などで年明け以降の受注が10分の1程度に激減。市内外の企業に新規受注を打診したものの契約はできなかった。炭焼き作業は、窯を営むまちづくり団体「炭焼きおやじの会」(川森泰彦会長)が、新田施設長(53)らの要請を受け、実現した。
窯は「竹林整備と肥料生産を合わせたサイクルを作ろう」と同会員5人が、建設会社の資材置き場にドラム缶の窯4基を設置。トタン屋根付き作業場48平方メートルを昨年末、整備した。
作業は切り出された竹材をなたで割って節を取る作業と窯入れや窯出し。おやじの会のメンバーが付き添い、平日に3、4人が交代で取り組む。炭は粉にして連作障害などを防ぐ土壌改良材にしたり、ぬかやおからなどと混ぜて発酵させ肥料にする。
通所者には時給300円が支払われるが、屋外作業は評判がよく希望者も多いという。
【写真説明】炭焼き窯(右奥)に入れる素材の竹割り作業に励む貴船ハウスの通所者たち