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2009年02月18日(水) 00時00分

ため池の水郷風景復活へ読売新聞

葛飾区が水元小合溜の水質浄化作戦 
広大な面積を誇る水元小合溜(区提供)

 葛飾区水元公園にある23区最大級のため池「水元小合溜(こあいだめ)」の水郷風景を復活させようと、区が水質浄化作戦に乗り出している。目標は都市化が始まる前の1955〜60年頃の環境で、今年は13年ぶりの生態調査を行う。区公園課は「水郷を葛飾の名物に」と意気込んでいる。(比嘉清太)

 埼玉県境にある水元小合溜は、江戸8代将軍徳川吉宗の世だった1729年、治水事業の一環で整備された。面積25・5ヘクタールで東京ドームの5・4倍。法律的には「準用河川」だが、事実上のため池だ。水生植物が生い茂り、かつては昆虫や野鳥、魚が数多く生息していた。都立水元公園と隣接し、「釣仙境(ちょうせんきょう)」の愛称で太公望に親しまれた。

 しかし、生活排水の流入などで1960年代から汚濁が進み、アオコの発生や魚の大量死が起きた。区は89年から、清流の鳥カワセミを呼び戻そうと、「カムバックかわせみ作戦」を展開。水質浄化センターを設置するなど6年がかりで対策を取って、カワセミの姿を定着させた。

 だが、戦後間もない頃は多かったウナギやナマズ、メダカや、アマツバメやカッコウなどの鳥も96年の調査では、ほとんど姿を消していた。植物もあまり回復していないという。ここ数年は、生物化学的酸素要求量(BOD)などでみる水質改善は頭打ち。大友和仁・公園課長は「今のままではこれ以上は改善されない」と話している。

 生態調査は、こうした現状を統計上も把握するため、2年間かけて行う。場所ごとに魚類、トンボ、カワセミなどの鳥類の生息状況や藻類の分布を調べ、今後の水質改善方法の在り方を再検討する。09年度は1200万円を投じる。区公園課は「生態環境の現状を知ることで、昔の風景を復活させる手がかりとしたい」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090218-OYT8T00097.htm