東京都江東区のマンションで昨年４月、２部屋隣に住む会社員東城瑠理香さん＝当時（２３）＝を殺害したとして殺人、死体損壊・遺棄などの罪に問われ、死刑を求刑された元派遣社員星島貴徳被告（３４）に対し、東京地裁は１８日、無期懲役の判決を言い渡した。
平出喜一裁判長は「殺害方法は執拗（しつよう）ではなく、冷酷だが残虐極まりないとまではいえず、殺人と死体損壊・遺棄に計画性もない。量刑の傾向を踏まえると死刑は重すぎる」と述べた。
被告は起訴内容を認めており、被害者が１人の場合で死刑が選択されるかどうかが争点だった。
判決は量刑判断で、最高裁の「永山基準」に言及し「殺害された被害者が１人の場合、ほかの判断要素で相当強い悪質性が必要」と指摘。
動機や犯行態様について「被害者を乱暴し『性奴隷』にしようとのゆがんだ性的欲望を抱いて拉致。発覚を恐れて殺害、遺体を損壊、遺棄した行為には戦慄（せんりつ）を覚える。証拠隠滅も徹底し、被害者の名誉や人格、遺族の心情を踏みにじり、極めて卑劣」と非難した。
一方で「被害者が命を落とした後である死体損壊、遺棄の態様を過大評価できない。当初意図していた乱暴やわいせつ行為をしておらず、前科もなく、逮捕後は犯行の詳細を自供し、悔いている」と被告に有利な事情を挙げ、「更生の可能性はあり、終生、被害者の冥福を祈らせ、贖罪（しょくざい）に当たらせることが相当だ」と結論付けた。
公判は、裁判員制度を念頭に、６回の集中審理で結審。検察側は被告人質問の際、マネキンを使って星島被告に遺体の切断経過を再現させた画像や肉片の写真などを大型モニターに映しながら、犯行状況を確認。遺族の一部が泣きだして退廷した場面もあった。
判決によると、星島被告は昨年４月１８日夜、東城さんをわいせつ目的で自室に連れ込み、包丁で刺して殺害。のこぎりなどで遺体を切断し、トイレなどに遺棄した。
（2009年2月18日13時23分 スポーツ報知）
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