記事登録
2009年02月18日(水) 06時01分

ベロベロ会見闇の中…中川財務相ヘロヘロ辞任スポーツ報知

 伊ローマでの先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後、ろれつが回らない状態での記者会見が問題視された中川昭一財務相(55)が続投姿勢から一転、辞任した。後任は与謝野馨経済財政担当相(70)が兼務する。この日昼に「来年度予算案通過後」という条件付きの辞意表明を行ったが、与野党の猛反発を食らい、夜になって麻生太郎首相(68)に辞表を提出。会見直前の深酒疑惑も消えぬままの辞任劇は二転三転する“千鳥足”状態。前日に続投を指示しながら盟友を失った麻生首相はついに土俵際に追い込まれた。

 「国会が少しでも円満にいくなら私が辞めた方がいいと考えた」。麻生首相の懐刀的存在の中川氏は辞表提出直後、辞任理由を疲れ切った表情でこう語った。続投に意欲的だったが、空転した国会を目の当たりにし、予算案成立すら危ぶまれると、辞任を決意。首相も慰留はしなかった。

 辞任決断までフラフラしていた。辞任の引き金となった酩酊(めいてい)会見の原因を「大量服用した風邪薬と酒の相乗効果」としていた中川氏は、17日午前は衆参両院の委員会をドタキャンし、病院で診察を受けた。その場では辞意の意思はないとしていた。ところが、昼に財務省内で緊急会見を行い、突然辞意表明。ただし、時期は「来年度予算案と関連法案の衆院通過後」という条件付きだった。

 中川氏の方針に「辞める大臣と予算審議できない」と野党が猛反発し、衆院予算委の出席を見送り。首相と席を並べて待ちぼうけをくらい、3時間遅れで始まった審議は与党だけで開始。答弁ではうつむき加減で「国民の皆さまにああいう姿を示したのは申し訳ない」と酩酊会見をわびた。

 委員会終了後は当初方針を貫く構えを見せていたが、それから約1時間後、辞表を手に官邸を訪ねた。政府関係者は「(17日午前の)閣議後に中川氏は辞任を申し出たが、首相は慰留した」と明かすが、千鳥足のような迷走劇になった。

 一方で、G7後の会見をめぐり、中川氏は16日に会見直前の飲酒を認めたが、深酒疑惑はぬぐい切れていない。辞任が決まった17日夜の会見で、酒について「今の体調では酒を飲む気にはならない」と自嘲(じちょう)気味に語った。

 条件付きの辞意は与党内でも波紋を広げた。公明党から「早く辞めさせろ」と声が上がり、自民党でも「『衆院を通過してから』という文言に驚いた」(石原伸晃幹事長代理)と反発の声が噴出。KY(空気が読めない)体質は安倍内閣から代々受け継がれていた。

 批判圧力に中川氏が折れた形となったが、盟友をかばうため前日に続投を指示した首相は傷口を広げた。辞表受理後に記者団に「厳しい決断をされた。尊重したい」と述べ、平静を装ったが、任命責任について「仕事に関しては優秀な人を選んだと思っているが、こうなったことを含めて責任は私にある」と認めた。麻生内閣はもうKO寸前だ。

(2009年2月18日06時01分  スポーツ報知)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090218-OHT1T00024.htm