東京都新宿区のビルでエレベーターに乗ろうとしたそば店経営塚田敏雄さん(74)が転落死した事故で、エレベーターが設置された1963年以降、手動式の扉施錠に必要な金属製フックやばねを交換した記録がないことが18日、分かった。エレベーターを製造し、保守管理している三精輸送機(大阪府吹田市)が記者会見して明らかにした。
同社によると、乗降口の扉は各階の壁に固定されているフックと扉のフックをばねでかみ合わせ施錠する仕組みだが、塚田さんが転落した1階乗降口は、フックが摩耗していたことが警視庁の調べで分かっている。かごが5階にあるのに1階の扉が開き、転落したとみられている。
同社は月に1万回扉を開閉すると想定し、10年でフックを交換するよう基準を定めていたが「事故機は使用頻度が極端に少なく、交換していなかった可能性がある」としている。