脳の神経伝達を担うニューロンが、自分の周りに指令を出して“世話役”となる神経細胞をつくらせていることを、奈良先端科学技術大学院大の中島欽一教授らのチームが解明し、17日付の米科学誌デベロップメンタルセルに発表した。
世話役はアストロサイトと呼ばれ、血中の栄養をニューロンに供給する役目を担う。
哺乳類の脳で神経回路が成長する際、ニューロンに続いてアストロサイトができることは知られていたが、詳しい仕組みは不明だった。中島教授は「世話役を自分の周りに配置する巧みな仕組みと言えそうだ」と話している。
チームは、マウス胎児の脳組織を観察。神経幹細胞からニューロンができると、周囲に特定の伝達物質を出して幹細胞からアストロサイトをつくらせるのを突き止めた。
中島教授は「この仕組みをうまく利用して神経細胞を再生できれば、脳梗塞治療などに役立つかもしれない」としている。