世界に映像が配信された“もうろう会見”から三日。続投にこだわっていた中川昭一財務相が十七日夜、二転三転の末、辞任した。野党の問責決議案に追い込まれた形のドタバタ辞任劇。「健康管理の不注意から多大なご迷惑をおかけした」とあくまで体調不良を理由に挙げたが、「今の体調では酒を飲む気にはならない」とも漏らした。
十七日正午すぎから始まった財務省での辞意表明会見。「いろんな方からおしかりを受けた」「腰や風邪の疲労がたまっていると診断された。今日にも入院する」と理由を説明した。麻生太郎首相と会談した十六日夜には「職責をまっとうしたい」と辞任をきっぱりと否定していたが、十七日午前に民主党が中川氏の問責決議案提出を決めた直後の表明だった。
ただ、辞任のタイミングは「(予算案の)衆院通過に全力を尽くしたい。首相もそれまでやれということだった」と語り、直ちに辞任しないことを強調。「百年に一度の経済危機。全力を傾注してきたが…」と未練ものぞかせた。淡々とした口調に終始したが、時折、メモを見る目は充血、顔色はさえず、苦悩を物語った。
その後、中川氏は野党が欠席する衆院予算委員会に出席、与党議員の質問に「国民の皆さまにああいう姿を示したのは誠に申し訳ない」と重ねて反省を示した。
ところが、野党が参院に問責決議案を提出した後の午後六時すぎ、中川氏は首相官邸を訪れた。麻生首相に辞表を提出して出てくると、「一身上の都合で辞表を提出した」と説明。無念からか目はうるみ、顔は紅潮していた。「病院に行ってゆっくり休みたい」とも話した。
財務省で開かれたこの日二度目の記者会見では、「予算を早く上げることが最優先の課題なので考え直した」と翻意の理由を釈明。「酒にまつわる話題が多いが」と問われると「酒についてはいろいろとご迷惑を掛けている。今の体調では酒を飲む気にはならない」と話し、最後に「長い間、お世話になりました」と頭を下げて立ち去った。