春闘のリード役とされるトヨタ自動車の労働組合(6万3千人)は18日、賃金改善分として組合員平均で月額4千円のベースアップ(ベア)などを求める要求書を提出した。これに対し、トヨタの小沢哲専務は「賃金引き上げどころか、(定期昇給に相当する)賃金制度維持分の確保すら極めて困難だ」と語り、ベアゼロ方針に加え、定期昇給分を圧縮する事実上の賃下げもあり得るとの考えを示した。
小沢専務は雇用確保を重視する基本姿勢を示した上で、組合側が夏冬合計で要求している一時金に関して「現時点で冬の賞与まで決めてしまうことはできず、満額回答はあり得ない」と述べた。
トヨタ労組のベア要求は4年連続で、前年獲得実績(1000円)の4倍という高水準。一時金は賃金5カ月分プラス20万円と、前年獲得実績を50万円以上引き下げた。期間従業員についても、今回初めて正社員の結果に応じた賃上げを求めた。
トヨタのほか、大手自動車メーカー各労組も同日、賃上げの要求書を会社側に提出。大手の回答が集中する3月18日に向け、約1カ月にわたる2009年春闘の労使交渉がスタートした。
今春闘で連合は物価上昇による賃金の目減りを取り戻すため、8年ぶりにベア要求を掲げた。会社側は世界同時不況による業績悪化で、賃上げには応じられないとの姿勢を見せており、例年以上に厳しい交渉が予想される。
(中日新聞)