医師不足問題を受けて臨床研修制度の見直しを検討している厚生労働、文部科学両省は十七日、二〇〇九年度以降の研修医の定員について、都道府県ごとの上限新設に加え、すべての研修先病院の募集枠を制限する方針を固めた。
都道府県ごとに上限を設けるだけでは、県庁所在地などの大規模病院に研修医が集中し、地域内での医師の偏在が解消しない恐れがあるため。
ただ、へき地の病院などに医師を派遣している大学病院などについては募集枠を優遇して配分し、地域医療を担う中核病院としての機能強化を図る。
当初は総定員を前年度比16%減の約九千五百人とし、うち約千七百人は大学病院などへの優遇分とする。
現行制度では、各病院は病床数などに応じて研修医の募集定員を自由に設定できるが、多くは定員割れとなっている。今後は、直近数年間の平均採用数など過去の実績を基準に算出し、実態に即した定員設定とする。
定員を満たしている病院がさらに病床数などを増やしても、募集枠は据え置く。定員割れの病院については欠員分の枠返上を求める。
採用者ゼロが続く病院に対しては、研修医を多く受け入れる地域内の中核病院とのグループ化を要請。研修病院としての機能は維持するが、独自の募集は行わないよう指導する。
その上で病院ごとの定員の合計が、都道府県単位で新設する上限数を下回るように調整。それぞれの都道府県で募集枠の「余剰」を生みだし、医師派遣機能を担っている大学病院などへ配分するとしている。
臨床研修制度見直しをめぐっては、現在、両省の検討会が(1)都道府県ごとの募集上限の新設(2)必修診療科数の大幅削減によるプログラムの弾力化—などを柱とする提言案を議論している。