和歌山市の和歌山東署の留置場で2004年4月、拘置中の男性(当時52歳)が、声を出せないようにする防声具を口に着けられるなどして窒息死した事件で、遺族3人が和歌山県と国に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、大阪地裁であった。
小野憲一裁判長は「拘束器具の使用方法は警察庁の規定などに違反しており、署長らは署員への教育を怠った」として、県に対し、男性の長女(35)ら子ども2人に計約5800万円を支払うよう命じた。
判決によると、男性は現住建造物等放火未遂容疑で逮捕され、拘置中の04年4月20日、留置場で大声を上げたため、口とあごを覆うゴム製の防声具を二重に装着されたほか、鎮静衣で体を固定され、頭から布団をかぶせられるなどして窒息死した。留置管理担当などの署員3人は同年10月、業務上過失致死罪で罰金50万円の略式命令を受けた。
遺族側は「国は防声具などの使用を禁止すべきだった」などと主張したが、小野裁判長は「必要最小限度の使用はやむを得ない」と、国への請求は棄却した。
和歌山県警は「判決を真摯(しんし)に受け止め、再発防止の更なる徹底を図ります」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090218-OYT1T00858.htm