春闘の相場形成に影響力を持つトヨタ自動車やホンダなど産業別労働組合「自動車総連」に加盟する大手労組が18日、賃金引き上げや労働条件改善の要求を一斉に会社側に提出し、2009年春闘の交渉が本格スタートした。
物価上昇を理由に連合が8年ぶりにベースアップ(ベア)を統一要求に掲げたことを受け、各労組とも昨年を大幅に上回る要求を提出。しかし「自動車不況」を背景に会社側は賃上げに応じない構えで、双方の隔たりは大きく、交渉は例年以上に難航しそうだ。
東京都新宿区の富士重工業本社では午前10時過ぎ、富士重工業労働組合の北川秀一委員長が、組合員1人月額4000円の賃上げなどを盛り込んだ要求書を森郁夫社長に提出した。
自動車総連は実質的ベアに相当する賃金改善方針について、昨年の月額1000円以上から4000円以上に大幅増額。これを受け、トヨタ、ホンダなど大半の大手労組が月額4000円を要求した。
昨年比でトヨタは2500円、ホンダは3000円の増。賃上げの原資を要求する方式の日産自動車の労組は月額平均1万円で、3000円の増額となる。労組の要求を受け取った後、トヨタの小沢哲専務は「賃金引き上げどころか、(定期昇給に相当する)賃金制度維持分を確保することも極めて困難。会社存続と雇用維持の観点から現実を直視する必要がある」と話した。
19日には、電機連合に加盟する大手労組が要求を提出し、3月18日の集中回答日に向けて労使交渉が続けられる。
連合がベア要求を掲げたのは昨年10月。原油や食料品など物価上昇が理由だった。その後、価格下落もみられるが、連合は08年度の消費者物価上昇率を1・3%程度とみており、ベアが必要との判断を変えていない。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090218-OYT1T00466.htm