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2009年02月18日(水) 12時26分

戦慄すら、でも残虐極まりないとまでは…星島被告判決読売新聞

 【江東・女性殺害 星島貴徳被告に対する判決の要旨】

 殺人については、包丁で被害者の頸(けい)部を突き刺すなどしており、残虐かつ冷酷である上、死体損壊、死体遺棄については、死体を細かく切断して投棄したという戦慄(せんりつ)すら覚えるものであって、死者の名誉や人格、遺族の心情を踏みにじる極めて卑劣なものである。

 被害者は、何らの落ち度がないにもかかわらず拉致された上で尊い命を奪われており、遺族らの処罰感情がしゅん烈を極め、社会に与えた衝撃も大きい。検察官が死刑を求めるのも理解できないことではない。

 しかしながら、殺害の態様は執拗(しつよう)な攻撃を加えたものではないし、残虐極まりないとまではいえない。死刑を選択する基準という観点からは、被害者が命を落とした後である死体損壊などの態様を過大に評価することはできない。

 被告人は強姦(ごうかん)の目的で被害者を略取したものの、結局、わいせつ行為にすら至らなかった。住居侵入などは計画的であることが認められるが、殺人、死体損壊などは、逮捕を免れるために被害者の存在を消してしまおうと考えたのであって、事前に計画されていたとは認められない。

 被告人に前科前歴はまったくなく、犯罪とは無縁の生活を送っていた。逮捕された後は、犯行を自供し、その後も一貫して罪を認めており、また、被害者の冥福を祈り、自らの罪を悔いて謝罪の態度を示しているなどの事情が認められるから、矯正の可能性がいまだ残されている。

 被告人の有利な事情も考慮すれば、死刑をもって臨むのは重きにすぎる。無期懲役に処し、終生、生命の尊さと自己の罪責の重さを真摯(しんし)に考えさせることが相当と判断した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090218-OYT1T00455.htm