5月に始まる裁判員制度を前に、最高検は17日、殺人や傷害致死など裁判員裁判対象事件の捜査や公判にどう取り組むべきかを示した検察の基本方針を発表した。
証拠は厳選するものの、被告の生い立ちや被害者の生活状況などはきちんと立証し、「血の通った裁判」を実現するとした。
従来、「証拠はできるだけ多く公判に提出した方が得策」という意識があったが、今後は、裁判員が情報過多にならないよう、立証すべき事実を絞り込むことが重要だと強調。法廷のモニターに画像を映したり、事件の相関図を記したボードを掲げるなど、立証のビジュアル化を心掛けるとした。
悲惨な遺体の写真などの取り扱いについては、裁判員に精神的な負担を与えることになっても、「適正な事実認定や量刑のためには、見せなければならない場合がある」と言及した。一方で、「モニターに映す場合には、そうした写真が含まれていることを事前に裁判員に告げるとともに、被害者の心情にも配慮し、傍聴席からは見えないようにするなどの工夫もすべきだ」と、一定の配慮を求めた。
また、精神鑑定などを行った鑑定人の尋問では、裁判員に講義するような形で説明する方法を取り入れることを提案した。
広報のあり方にも触れ、非公開となっている公判前整理手続きについて、「必要に応じて、検察としても手続きに臨む姿勢を広報する場合もある」とした。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090218-OYT1T00518.htm