キヤノンの工場建設を巡る法人税法違反事件で、大分市のコンサルタント会社「大光」社長・大賀規久容疑者(65)が、隠した所得を、親族の口座や同容疑者が役員を務める関係会社に一度プールした後、キヤノン株の購入などに充てていたことがわかった。
購入されたキヤノン株は三十数億円分に上る。東京地検特捜部は、大賀容疑者が脱税の発覚を免れようと、資金の流れを複雑にする目的で親族や関係会社を迂回(うかい)させたとみている。関係者によると、大賀容疑者は脱税容疑を認める供述を始めた。
特捜部と東京国税局は17日午前、同法違反容疑で大光や内装工事会社「匠」(東京都千代田区)、大賀容疑者の自宅(大分市)、大光の元取締役で元大分県議会議長の長田助勝容疑者(80)の自宅(大分県佐伯市)などの捜索に乗り出した。
関係者によると、大賀容疑者は脱税容疑が浮上している大光、匠、建設関連会社「ライトブラック」(大分市)のほか、警備会社「デューク」(同市)、保養施設経営会社「プライム・ヴィラ」(大分県由布市)、東京都や静岡県のベンチャービジネスを手がける会社など数社を傘下に抱えていた。
大手ゼネコン鹿島から大光などがコンサルタント料や裏金として受け取り、脱税したとみられる三十数億円の一部は実態のないグループ会社に数億円単位で持ち込まれたり、親族の口座に数百万〜数千万円に分けて送金されたりした後、株購入などに使われたという。
計三十数億円のキヤノン株は大賀容疑者や息子、親族などの名義で、大賀容疑者は同国税局などに、当初は「息子や親族名義の株は自分のものではない」と説明したというが、特捜部などでは同容疑者の所得と判断しているとみられる。
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東京・永田町のビルに入っている匠には17日午前10時頃、係官約10人が到着。報道陣のフラッシュを浴びながら、次々とエレベーターに乗り込んだ。大分市の大光事務所にも同じ頃、係官5人が捜索に入った。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090217-OYT1T00562.htm