中川昭一財務・金融相(55)(衆院北海道11区)は17日昼、財務省で記者会見し、先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の閉幕後の記者会見でろれつが回らなかった問題で混乱を招いたことの責任を取り、2009年度予算案と関連法案の衆院通過後に辞任する意向を表明した。
麻生内閣の閣僚辞任は日教組批判発言などの責任を取った中山成彬・前国土交通相に続き、2人目。報道各社の世論調査で麻生内閣の支持率が20%以下にまで落ち込む中、重要閣僚である財務相の辞任はさらなる打撃となった。
野党側は麻生首相の任命責任を追及する構えで、首相はいっそう厳しい政権運営を強いられることになる。
中川氏は17日、09年度予算案などの衆院通過後の辞意を首相に伝え、首相も了承したという。
記者会見では「関係方面に多大な迷惑をかけた。09年度予算案と関連法案が衆院を通過したならば、ただちに私自身のけじめとして辞表を提出したい」と述べた。辞任の理由については、体調とG7閉幕後の記者会見の2点を挙げた上で、体を休めるために入院する考えを示した。
これに対し、民主、共産、社民の3党は、中川氏の即時辞任を求めて17日中に中川氏に対する問責決議案を参院に提出する。3党は同日午後、国会内で国会対策委員長会談を開き、こうした方針を確認した。
麻生首相は16日、中川氏を続投させる方針を示していた。中川氏も17日午前の記者会見では職務にとどまる意向を示していたが、民主党など野党は、中川氏に対する問責決議案を参院に提出する構えを見せていた。
中川氏は13日から2日間、ローマで開かれたG7に出席。14日の記者会見では眠そうで口調がはっきりせず、日本の政策金利を言い間違える場面も見られた。中川氏は国会などで「早く風邪を治さないといけないと思って薬を2倍飲んだ」などと釈明していたが、政府・与党内からも「この経済情勢で、日本の財務相の発言が混乱していると見られるのは困る」などと問題視する声が上がっていた。
中川氏は1月28日の衆院本会議でも、財政演説で言い間違えを連発、26か所の訂正を申し出るなど、国会審議でも混乱が目立った。
中川氏は首相との親交が深く、盟友関係にあることから、政権へのダメージは極めて大きいと見られる。
中川氏は自民党伊吹派所属で、現在8期目。農相や経済産業相、党政調会長などを歴任し、昨年9月の麻生政権発足時に財務・金融相に選ばれた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090217-OYT1T00474.htm