中川財務・金融相がローマで開かれた先進７か国財務相・中央銀行総裁会議（Ｇ７）閉幕後の記者会見でちぐはぐな受け答えをした問題は１６日、中川氏の進退に発展する可能性が出てきた。
野党が「醜態をさらした」として中川氏の辞任か罷免を求め、応じない場合、中川氏に対する問責決議案を参院に提出する構えを見せているためだ。麻生首相は中川氏を続投させる方針を示しているが、与野党の駆け引きが激しくなっている。
中川氏は１６日夜、首相官邸で首相と会い、記者会見の問題について「大変、迷惑をかけた」と謝罪した。首相は「職務に専念してもらいたい」と続投を指示、中川氏も了承した。首相は記者団に、「（Ｇ７は）体力は使うし、睡眠薬は飲むし、体調に不調を来すと思っていた。体を大事にきちんとやるように（中川氏に）話した」と語った。
中川氏は１６日、衆院財務金融委員会などで、Ｇ７会合の昼食会で飲酒したかどうかについて「ワインがつがれ、乾杯するのは儀礼上ある。グラスに口は付けたかもしれないが、たしなむ程度でグラス一杯も飲んでいない」と述べたうえで、体調不良は風邪薬の服用が原因だと強調した。
Ｇ７に同行した玉木林太郎国際局長は同委員会で、Ｇ７閉幕から日露財務相会談までの間に財務相と一緒にホテルで、Ｇ７での昼食会とは別に昼食を取ったことを明らかにしたうえで「その場にワインのグラスがあったのは記憶しているが、大臣が飲んでいた記憶はない」と答えた。中川氏は委員会終了後、記者団に対し、玉木局長らとの昼食に関して「その時は飲んでいない」と説明した。
しかし、中川氏は１６日夜、記者団に対し、この昼食について、「程度問題だが、ほとんど飲んでいない状況だ。本当に、口をつけたという程度だった」と述べ、少量の酒を口に含んだことを認めた。
与党は中川氏を擁護しているが、公明党幹部は１６日夜、記者団に「飲酒が原因だと分かったら、かばうのは難しい」と語った。
一方、民主、共産、社民、国民新の野党４党は１６日の国会対策委員長会談で、中川氏の辞任か罷免を要求する方針で一致した。問責決議案の提出を検討することも確認。１７日の参院財政金融委員会と衆院予算委員会での中川氏の答弁を見た上で、最終判断する。
民主党の小沢代表は１６日、山口県宇部市で記者団に対し、「世界に醜態をさらし、恥ずかしい話で、責任は重い」と批判した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090216-OYT1T01236.htm