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2009年02月17日(火) 00時00分

日テレ系 「神の雫」からワイン熱読売新聞

登場銘柄の売れ行き急増

 ワインを巡って繰り広げられる人間模様を描いた日本テレビ系「神の雫(しずく)」(火曜後10・00)。ドラマによるワインブームとともに、制作者たちの熱い思いにも注目したい。(小林佑基)

 ドラマは、世界的なワイン評論家、神咲豊多香(古谷一行)の息子の雫(亀梨和也)と、豊多香と養子縁組をした遠峰一青(田辺誠一)とが、豊多香のワインコレクションの相続をかけ、豊多香が「神の雫」と呼んだ最高のワインが何かを、コレクションの中から探し出す物語。原作マンガは、日本で220万部、韓国で200万部を売り上げている人気作品だ。

 マンガもワインブームに火をつけたが、原作者の亜樹直(あぎただし)さんは「それ以上にテレビのパワーはすごい」と語る。実際、作品に登場したワインの売れ行きは急増。通販サイト「楽天市場」のあるワイン販売店舗では、コート・デュ・ローヌの在庫300本が、放送中の30分で売り切れた。

 また、ワイン専門店「ヴィノスやまざき」では、シャトー・レゾリューの売れ行きが放送翌日から3〜4倍の1日30ケース(360本)以上に急増。ワイン輸入業「日本リカー」でも、ルイ・ジャドのシャブリの3か月分の在庫が、放送翌日に完売した。ヴィノスやまざきの種本祐子専務は「それまでワインを飲まなかった人が、ドラマを見て来店してくれる」と喜ぶ。

 亜樹さんは、年間1000種類は飲むというワイン通。自宅にある保管庫では足りず、マンションの1室を借り、一年中冷房をつけて数千本を保管しているほどだ。それだけに、ドラマで使うワインは必ず試飲し、取り上げていいかどうか判断する。「ドラマ作りは任せるが、登場するワインは僕らの領分。原作に出てこないワインも多いが、視聴者が飲んで『まずかった』では困る」からだ。

 亜樹さんは様々なペンネームで、「金田一少年の事件簿」や「シバトラ」など、マンガやドラマ原作者として活躍するが、「純粋に趣味で作った『神の雫』への思い入れは、ほかのものとは全然違う」と語る。

 ドラマ作りにも、亜樹さんの思いが伝わっている。ワイン学校「サロン・ド・ヴィノフィル」主宰で、ドラマ監修も行う斉藤研一さんによると、主演の亀梨は1か月間、栓の開け方や、ワインの香りや味を開かせるデキャンタージュなどを特訓。その成果か、作品中での手さばきは華麗だ。

 劇中で飲むワインはすべて本物で、最高30万円。出てくる料理も高級ホテルのシェフが作り、テーブルマナーも登場人物ごとに所作を変えるほど、細部に凝っている。挿入されているフランスのブドウ畑などの映像は、番組スタッフがこのドラマのために撮りに行った。

 亜樹さんは「ワインの味を形容する表現が回を追うごとに進歩している」と評価する。第6話は、遠峰が腹違いの兄弟と知り衝撃を受けた雫が、仲間の思いを背に再び立ち上がるという内容で、きょう17日午後10時から放送される。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/tv/20090217et02.htm