県主要農作物奨励品種審査会(会長=鵜池常範・県生産振興部長)は16日、県農業試験研究センターが育成した暑さに強い米「佐賀37号」を県の奨励品種に採用することを決めた。県産水稲の主力品種「ヒノヒカリ」は近年、夏場の高温による収量減や品質低下が問題になっており、農家は新品種の本格導入に期待を寄せている。(丸谷一郎)
審査会の委員は佐賀大教授や生産者、消費者団体の代表ら20人。県は年度内にも正式に奨励品種に採用し、主要農作物種子法に基づき、種子の提供などで生産を支援する。
県農産課によると、県内のヒノヒカリの2008年産の作付面積は約9000ヘクタールで、水稲全体(約2万7000ヘクタール)の約33%を占め、品種別で最も多い。ただ、ピークの1997年産の半分に減ったうえ、01年産で約70%あった1等米比率は、高温などの影響で05〜07年産ではほぼ0%、08年産も昨年12月末現在で6・5%にとどまっている。
佐賀市川副町の佐城農業改良普及センターで開かれたこの日の審査会では、試験栽培の結果、佐賀37号がヒノヒカリに比べ、1割以上収量が多いことや、高温で米粒が白く濁って品質が低下した割合が3分の1以下に抑えられたことなどを県の担当者が説明。委員は両方を食べ比べ、おいしさに定評があるヒノヒカリに劣らない味を確かめた。
委員の塚原信明・県生産組合連合協議会会長は、ヒノヒカリ栽培の厳しい現状を訴え、「佐賀37号を早く作りたいというのが農家の気持ち。非常に期待している」と強調した。有馬進・佐賀大農学部教授は「奨励品種として満足できる」と述べた。
県は昨年末、農林水産省に佐賀37号の品種登録を申請しており、今春にも販売用の名前を発表する予定。09年産は1250ヘクタール、10年産は5000ヘクタールでの作付けを見込んでいる。御厨秀樹・県農産課長は「まずは県民の認知度を上げて県内、九州での販売に力を入れたい。そのうえで、東京や大阪などの大都市圏にも販路を広げることができれば」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20090216-OYT8T01173.htm