裁判員に選ばれたものの途中で解任される場合がある。ここで注意したいのが「品位を害する行動をした」場合だ。この「品位」とは? 朝青龍に求められているものとはどう違うのか。最高裁の広報に聞いてみた。
「法の解釈の問題。統一的にどういうものかという回答はできない。法務省に聞いてください」とのことなので同省「裁判員制度啓発推進室」に尋ねてみた。
するとこの「品位」とは「法廷内のことにとどまらない」という。大麻や万引きなどの犯罪行為は当然で、駐車違反やスピード違反などもこの「品位を害する行動」には含まれているという解釈でよさそうだ。
さて、評議では被告人が有罪かどうか、有罪ならばどのような刑を科すかの結論を出す。全員一致が基本だが、多数決の場合は別表2のような仕組みで「判決」が導き出される。「経験もバックグラウンドも異なる裁判員と裁判官とが十分に議論を尽くして出した結論は、おのずと正しい結論になるはず」(最高裁発行・裁判員制度ナビゲーションより)。しかし裁判員裁判は一審のみ。被告や検察側が控訴し、高裁で別の結論が出る可能性は、もちろんある。
その後は法廷で判決宣告に立ち会い、これで公判は終了。しかし、裁判員は、ある意味で一生続くともいえる。例えば守秘義務。裁判員を務めた感想、法廷で見聞きしたことは話してもいいが「評議で知り得た秘密」などはダメ。「裁判員が後の批判などを恐れず、自由に意見を言えるため」だという。
「被告が反省した様子を見せなかった」などと話しても問題はない。しかし「8対1の多数決で有罪になった」と明かすのはNG。「自分は反対したのに、死刑判決になってしまった」などということも口外してはいけない。
この「秘密」は家族にも内緒にしなければならず、もし破れば「秘密漏示罪」で罰則(6月以下の懲役、または50万円以下の罰金)が適用されるケースもあり得る。
実際に裁判員になるのは、1年間で5000人に1人と言われる。最高裁は「制度の運用は、なるべく皆さんの負担にならないように」と繰り返す。しかし、辞退の基準や罰則がどこまで厳しく適用されるのかは不透明のままだ。このこと自体が、すでに十分な負担とはいえないだろうか。
「裁判員としての経験が、皆さんの人生をより豊かにすることを期待します」(広報用映画「裁判員 選ばれ、そして見えてきたもの」パンフレットより)
◆「お礼参り」は大丈夫? ○…裁判員が被告人から「お礼参り」を受けないか?と心配する声もある。逆に「刑が軽い」と被害者側から恨まれる可能性だってある。さらに暴力団がらみの案件であったら、などと不安は尽きない。複数の司法関係者は「私の周りには報復された裁判官や検事はいないから大丈夫」と口をそろえ「脅迫などは犯罪として処罰されるから大丈夫」と言うのだが…。
(2009年2月17日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090217-OHT1T00009.htm