中川昭一財務相兼金融担当相（55）は十七日夜、麻生太郎首相と首相官邸で会い、先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議（Ｇ７）閉幕後、もうろうとした状態で記者会見した問題の責任を取って辞表を提出、受理された。中川氏は同日昼の記者会見で辞任する意向を表明していたが、時期は二〇〇九年度予算案と関連法案の衆院通過後としていた。首相は中川氏の後任に、与謝野馨経済財政担当相（70）を兼務で充てる方針を明らかにした。
中川氏が一転して辞任を十七日に前倒ししたのは、政府、与党が週内の通過を目指す〇九年度予算案審議への影響を最小限に抑えるため。民主党など野党はこれに先立ち即時辞任を求め、中川氏の問責決議案を参院に提出し、辞任するまで審議を拒否する方針を決めていた。中川氏の辞任劇は、いったんは続投を指示した首相の迷走ぶりを際立たせる結果になり、政権の一層の求心力低下は必至だ。
首相は十七日夜、記者団に「仕事に関しては優秀な人を選んだと今でも思っている。ただ、任命した責任は私にある」と、任命責任を認めた。政権への影響に関しては「特にない。予算がいかに早く上がるか、それがすべてだ」と述べた。
後任の与謝野氏には、経済政策に責任を持つ三ポストが集中する異例の事態になる。首相としては、景気対策が政権の最優先課題となっている状況で「即戦力」が不可欠と判断したとみられる。
中川氏は昼の会見で「いろいろな方からおしかりや意見をいただき、最終的に今日になって首相に（辞意を）申し上げた」と述べた。医師から「疲労がかなりたまっている」と診断されたとし、体調不良も理由に挙げた。
中川氏は十四日、ローマで会見に臨んだ際、眠そうな様子で日銀の政策金利を間違えるなど、しどろもどろの姿が報道され、過度の飲酒を疑われた。十六日の衆院財務金融委員会では、Ｇ７閉幕後、ホテルに戻り昼食でワインに「口をつけた」ものの「深酒」が原因との見方を否定。ろれつが回らなかったのは「風邪気味で、念のためと薬を倍近く飲んでしまった」と釈明した。