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2009年02月17日(火) 21時32分

会見映像に「あきれた」 自民内からも冷ややかな声中国新聞

 ローマであった国際会議後の記者会見の失態が原因で中川昭一財務相が辞任した。ろれつが回らず、ちぐはぐな受け答えに終始。別人への質問に答えたり、事実関係を誤ったり…。“もうろう会見”の詳細はインターネットに続々と掲示され、多くの人がアクセスした。ブログには「あきれる」などの書き込みも殺到。自民党内からも「辞任は当然だ」と冷ややかな声が上がった。

 「あのー、ふう、おぶぁま(オバマ)政権に対して…」。現地時間十四日午後四時前、ローマ市内のホテル。先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議閉幕後に開かれた記者会見で、中川氏は内外の記者約三十人を前に緩慢な物言いで切り出した。

 しきりにまばたきを繰り返し、うつらうつらする場面も。日銀の現在の政策金利を言い間違えた上、「これからの状況に向かって…」と言ったまま次が続かない。

 記者が隣の白川方明日銀総裁を指名し金融政策について質問すると、「何、もう一度言って」と勘違いして割って入る。自分への質問では途中で突然「どこだ」と遮り記者を探しだし、近くにいることすら分からない様子。白川総裁のコップを取り上げて水を飲もうとするなど、財務省関係者さえ「ひどい」とため息をつくありさまだった。

 会見は海外でも反響を呼んだ。英国では中川氏の映像をだぶらせ、キャスターが中川氏のしぐさをまね、米国の司会者は「日本は大丈夫でしょうか」とコメントした。

 ネットでも、やりとりを掲示した動画サイトではアクセスが数十万件に達するなど話題沸騰。「日本の恥」「あきれた」と、やゆする書き込みも相次いだ。

 前代未聞の会見に、自民党内でも同情の声は少ない。閣僚経験者の一人は「権力の座にいる人間があんな弱さを世界にさらけ出すなんて」。若手議員も「辞任は仕方ない。麻生太郎首相の失言といい、もっと緊張感を持ってほしい」と求めた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902170386.html