二〇〇九年度予算案の国会審議中に担当閣僚の辞任という「激震」に見舞われた中央官庁が並ぶ東京・霞が関。「体調不良が原因」と説明する中川昭一財務相が酒好きだったことは関係省庁でも有名で、「いつかはこうなると心配していた」と打ち明ける幹部もいた。
中川氏が担当相を兼務する金融庁の中堅幹部は「国会のことも考えると、辞めずに乗り切るのは難しいと考えていた」と言う。ただ「お酒が好きな大臣だったが、まだ後に仕事がある場合は飲まない人だ」と、辞任の引き金となった会見がふに落ちない様子だった。
かつて中川氏が閣僚を務めた経済産業省の幹部は「経産相時代も酒が入っているような様子を省内で目にしたことがある」と明かす。一方で、「あんな状態で会見させたことは財務省にも問題がある。日銀総裁だけに任せる方法もあったのではないか」と、官庁の“危機管理”の在り方に疑問を投げかけた。
「それにしてもこの一年間で一体何人目の大臣になるんだ」と、政治への恨み節を漏らすのは財務省の四十代課長。「国会は空転してこの先どうなるんだろうか」と、予算案審議への影響を気に掛けていた。
農林水産省の幹部は「経済がこんな状態だというのに…。麻生内閣もおしまいかもしれない」とつぶやいた。