「長年の活動がようやく実を結んだ」。岩国市の米海兵隊岩国基地での民間空港再開の方針が決まった16日、地元からは地域活性化の起爆剤になると期待感が広がった。一方、米軍再編に絡んだ国の懐柔策との疑念から、手放しで喜べないとする意見もあった。
「市政始まって以来の明るいニュース。感謝の気持ちでいっぱい」と岩国空港早期再開推進協議会の柏原伸二会長。地元経済界が中心となり、20年来、国や県への要望活動を続けてきた。「これが1つの区切り。今後は黒字(路線)になるよう努力したい」と力を込める。
長引く不況の中、地域経済の浮揚効果への期待も大きい。岩国駅前本通商店街振興組合の小林幹生理事長は「駅前と合わせて新たな街の玄関口になる。東京から観光客を誘致し、中心市街地から市全域を盛り上げたい」と青写真を描く。
ただ、慎重論も根強い。愛宕山地域開発事業跡地の米軍住宅化に反対する「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表は「市民が待ち望んだ歴史的背景もあり、再開自体は前進」と前置き。続けて、国が民空再開の見返りに愛宕山の米軍住宅化を水面下で市に打診した、とされる内部協議資料に触れ、「危機感はある。取引材料にならないよう関心を持っていく」と口元を引き締めた。
【写真説明】岩国空港早期再開推進協議会メンバーとともに喜びを語る柏原会長(左から2人目)