2008年10〜12月期のGDPが、実質で年率12・7%減と約35年ぶりの大幅なマイナスを記録した。
1〜3月期にも2けたのマイナス成長に陥る懸念が高まる。国内外の経済情勢をリポートする。
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1月16日、米国2位の家電量販店サーキット・シティが会社を清算すると発表した。
3月までの閉店セールが終われば全米567店舗が閉鎖される。日本メーカーが得意とする薄型テレビやデジタルカメラを含め、年間117億ドル(約1兆円)の売上高がそっくり消えることになる。
米自動車市場はもっと深刻だ。「低燃費だろうと、ローン金利がゼロ%だろうと、売り文句にならない。お客さんが店に来ないのだから」
米トヨタ自動車の販売担当者は嘆く。1月の販売台数は前年同月に比べ約32%減の約12万台にとどまった。これに対し、在庫は2月1日時点で約41万台あり、3か月かかってもさばききれない計算だ。
まるで蒸発でもしたかのように需要が消失する現象が世界中で起きている。好調さを維持してきた新興国も例外ではない。
中国の北京、上海などの都市部では途中で工事が止まったままのマンションが目立つ。
住宅市場が冷え込めば、家電の買い替え需要が一気に落ち込む。今年の春節(旧正月=1月26日)商戦では大手量販店での薄型テレビ販売額が初めて前年比マイナスに転じた。毎年の20%、30%という大幅増からの急ブレーキはすさまじい。
日系電機大手の担当者は「まさか中国のテレビ市場の成長が止まるとは思わなかった」と頭を抱える。
茨城県ひたちなか市にある日立製作所の佐和事業所は、自動車機器の生産拠点だ。工場の一角で、世界最大の自動車メーカー、米ゼネラル・モーターズ(GM)向けの生産ラインが止まっている。トヨタ自動車や日産自動車など日本メーカー向けのラインも大幅な減産に入った。戦前から日立の工場立地に支えられてきた企業城下町だけに影響は深刻で、瞬く間に下請けに広がった。
世界的な需要減を受け、日本の10〜12月期の輸出は直前の7〜9月期に比べ13・9%も落ち込み、戦後最大の下落幅となった。国内総生産(GDP)に占める輸出の割合は1996年度、10%だった。世界的な好景気を頼みに日本経済は02年2月から息の長い景気回復を遂げ、輸出の割合は07年度には18%に高まっていた。
輸出依存型の経済構造の改革に後れをとり、日本経済は戦後最悪の不況の縁で立ちすくんでいる。(連載「激震経済1回目」)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090216-OYT1T01261.htm