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2009年02月17日(火) 00時00分

中退の後悔伝えて読売新聞

豊島のNPO経験者に呼びかけ

 ニートの若者の支援などに取り組むNPO団体「コトバノアトリエ」(豊島区)が、大学や高校からの中退を防ぐ事業を3月から始める。学校を辞めるまでの経緯を研究し、中退を予防することの重要性を社会に発信する目的。セミナーや出張授業を計画しており、研究のためのインタビューに協力してくれる中退経験者を募っている。(杉野謙太郎)

 新事業の名称は「日本中退予防研究所」。同NPOは、2006年からインターネットでニートの若者たちに情報を発信するラジオ番組「オールニートニッポン」を運営し、漫画家志望の若者に低家賃の住居を提供する「トキワ荘プロジェクト」も実施している。

 NPO代表理事の山本繁さん(30)は、多くのニート経験者と接するうち、大学や専門学校などを中退する人が多いことに気づいたという。「中退すると正社員にもなりにくい。中退者を減らすことが、若者のニート化や社会的弱者への移行を防ぐことにつながる」と山本さんは語る。

 新事業では、NPO職員やボランティアのスタッフらで行う中退経験者へのインタビューをもとに、中退へと至る過程を分析する。分析結果を生かし、4月から学校教師向けのセミナーを開くほか、高校生に中退のリスクを伝える出張授業も行う予定。中退を考えている人の転学や復学の支援にも取り組みたいという。

 事業開始に先立ち、山本さんは昨年5月から、大学と専門学校を中退した人たち30人にインタビューを実施。学校で突然、友人に無視されたり、入学直後の友達づくりがうまくいかないなど人間関係をきっかけに通学しなくなるケースが多く、「退学を申し出ても、先生が親身になって引き留めてくれなかった」など教員や学校側との信頼関係の不足を指摘する人もいた。

 中退後の生活については「転学や就職を相談する相手がいなかった」とする人が多く、「中退について軽く考えていたが、リスクを事前にもっと知りたかった」という声もあった。

 山本さんは「後のことを十分に考えないまま中退してしまう若者は多く、社会問題として取り組んでいかなければ」と話す。

 インタビューなどの問い合わせはコトバノアトリエ(電)050・1071・8324、http://www.kotolier.org/。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090217-OYT8T00111.htm