東京高検は17日、ニッポン放送株のインサイダー取引事件で証券取引法(現金融商品取引法)違反罪に問われ、2審東京高裁が執行猶予付き有罪とした村上ファンド元代表の村上世彰被告(49)について、上告しないことを決めた。被告側は無罪を主張して既に上告しているが、検察側の断念で、被告が実刑を受けることはなくなった。
高検の渡辺恵一次席検事は「明確な上告理由が見当たらない」とコメントしている。
3日の高裁判決は「当初からインサイダー情報で利得を得ようとしたものではない」として懲役2年などの1審判決を破棄、懲役2年、執行猶予3年とした。罰金300万円、追徴金約11億4900万円は1審通り。
判決によると、村上被告は2004年11月、当時のライブドア社長堀江貴文被告(36)=粉飾決算事件で1、2審実刑、上告=らから同放送株の大量取得方針を聞き、約193万株を購入、高値で売り抜けた。