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2009年02月17日(火) 15時05分

市民ら「当然」と厳しい声 中川財務相辞任東京新聞

 世界経済が悪化する中、解決を目指す重要な国際会議後にろれつが回らない状態で記者会見し、醜態をさらした中川昭一財務相。国内外で批判が広がる中で17日、ついに辞意を表明した。支持率低下に苦しむ麻生内閣にはまさに“弱り目にたたり目”。東京・霞が関の官僚が困惑を隠さない中、市民からは「辞任は当然」と、厳しい声が相次いだ。

 「自分の健康管理の不注意から国民の皆さん、総理、国会をはじめ、多大な迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます」

 財務省で急きょ、会見した中川氏は髪を整え、ダークスーツ姿で神妙な表情。ゆっくりとした足取りで会見席に着き、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後の会見とは一変し、しっかりと辞任の弁を述べた。

 「昨晩、今朝と(医師に)みてもらって腰(が悪く)、風邪、疲労がたまっているという診断を受けた」。ただ、「景気回復のために全力を傾注したつもりであります」と、これまでの財務相としての実績を強調した。

 2009年度予算案の衆院通過後に辞任する意向を示したうえで、「残された日々、全力を尽くしていく」と短い会見を結んだ。

 財務省の男性職員(43)は「うわさでは普段酔っているようなことも聞くが、風邪薬の影響と思っていた」と辞任表明に驚きを隠せない。同省の広報担当者は「今回の会見はメディアの幹事社からの要請で緊急に開いた。あっという間の出来事だった」と困惑気味。同省職員の多くはちょうど昼食時で、職場に戻って辞任表明を知った。

◆「首相に責任も」東海の声

 中川昭一財務相の辞意表明に、東海地方の市民からも手厳しい声が続出、麻生太郎首相の任命責任を問う指摘も聞かれた。

 名古屋市中区の繁華街で買い物をしていた同市天白区の主婦(60)は「国際会議の場であれだけの醜態をさらしたのだから辞任は当然でしょう。麻生さんも見る目がなかったわねえ」とピシャリ。

 名古屋市港区の三菱重工大江工場で、請負会社社員や派遣社員として13年働き、昨年解雇された兼岩昇さん(61)は「麻生太郎首相がどう思って任命したかは知らないが、世界的な不景気を話し合う場で、あんな酔っぱらったような姿をさらすとは思わなかった。われわれ労働者がどんどんクビを切られている実態を知らないのではないか」と、あきれた様子で話した。

 岐阜市の特別養護老人ホームの介護職員、川島直也さん(26)は「薬が原因とは思えなかった。世界に姿が配信され、恥ずかしい。辞めて当然だが、中川さん自身で決めたのではなく、選挙や政局が関係しているのでは。経済も大変な時に論点の違った所で辞任するなんて政治家はしっかりしてほしい。麻生首相の任命責任もあると思う」と嘆いた。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021790145838.html