愛知県の出先4機関で計約750万円の裏金をつくっていた問題で、うち7割以上を占めた東三河高等技術専門校(豊川市)では、年度末にカラ出張を集中させる手口で裏金を捻出(ねんしゅつ)していた。年度末に余った旅費を使い切ったように装っていた可能性もある。
県産業労働部によると、同校で判明したカラ出張は約100万円。1999年3月に42万円、2000年2、3月に四18万円、01年2月に十万円が「庶務課」名義の銀行口座へ入金されていた。
当時の担当者は「記憶にない」とカラ出張を否定したが、1回の旅費入金額が最高27万円に上ったうえ、年度末に出張が集中するなど不自然なことから、県はカラ出張と認定した。
同校はカラ出張をやめた01年度以降も、訓練生が作った整理箱や郵便受けなどの売上金130万円や、業者から支払われた自動販売機の手数料81万円、授業で出た鉄くず売却費12万円などを裏金にしてきた。
裏金の支出は08年度まで続き、職員の懇親会経費として1万1000円を充てたり、エアコンや冷蔵庫など電気製品を購入したりしていた。とくに08年度は校庭の樹木伐採費がかさんだことから、使途が判明しているこの7年間で最も多い59万円を使ったという。
昨年4月に赴任した渡辺武志校長は、1カ月後に担当者から裏金の存在を知らされた。しかし「(表ざたにすると)どういう影響があるか分からず、言い出せなかった」として、昨秋に不正経理問題が表面化するまで県庁に報告しなかった。
県の調査では、同校のほかに、産業技術研究所・食品工業技術センター(名古屋市)と尾張福祉相談センター(同市)、東三河福祉相談センター(豊橋市)で裏金が見つかった。カラ出張は食品工業技術センターを除く3機関で計295万円あった。
(中日新聞)