石原慎太郎東京都知事の主導で設立され、経営再建中の新銀行東京(新宿区)は16日、不適切な業務運営が経営悪化を招いたとして、仁司泰正元代表執行役(68)と丹治幹雄元執行役(54)の2人に計約110億円の損害賠償を請求する方針を固めた。17日、正式に発表する。
仁司氏はトヨタ自動車出身。豊田通商常勤監査役から新銀行に招聘され、2004年4月、代表取締役に就任。同6月から07年6月まで初代代表執行役を務めた。丹治氏は06年6月から07年6月まで執行役だった。
新銀行は昨年3月、旧経営陣が独善的な運営をし、責任が重いとする内部調査の報告書を公表。最終的な対応を判断するため、法律事務所に調査を委託していたが、不良債権の増加は開業当初の経営陣の不適切な業務運営が原因と結論付けたもようだ。
石原知事も昨年以来、仁司氏ら旧経営陣に対し、法的責任を追及すべきだとの主張を繰り返していた。
新銀行は都の1000億円の出資を受け、05年4月開業。中小企業向けの無担保・無保証融資を売り物にしたが、ずさんな融資のため、昨年3月期決算で累積赤字が1016億円に膨らんでいた。
都は昨年4月、新銀行を支援するため、400億円を追加出資。同10月には融資資金をだまし取ったとして、詐欺容疑で元行員らが警視庁に逮捕された。