中曽根弘文外相と来日中のクリントン米国務長官は17日、「在沖縄米海兵隊グアム移転協定」に署名した。移転をめぐる日本側拠出金の目的外使用を禁じるとともに、海兵隊移転を含め日米両政府が合意した在日米軍再編行程表(ロードマップ)の着実な実行を確認する狙いがある。
政府は協定の承認案件を今国会に提出し批准したい考え。ロードマップ全体を政治文書から、法的効力のある条約に「格上げ」する方針だ。ただ民主党は承認に慎重な構えで、国会審議は紛糾しそうだ。
協定は、在日米軍再編が沖縄県など米軍基地を抱える地域の負担を軽減すると指摘。グアムでの移転事業が2009年度から本格化するのをにらみ、日米が分担拠出する海兵隊8000人の移転経費102億7000万ドルの扱いを記述した。
同時に、海兵隊移転について「ロードマップに記述された米軍普天間飛行場の代替施設完成に向けての日本政府による具体的な進展にかかっている」と明記。移転実現は、沖縄県側が計画修正を求めている普天間飛行場移設問題の解決が不可欠とあらためて明示した。
移転経費の日本側の負担は60・9億ドル(全体の59%)。このうち融資を除く政府の財政支出28億ドルについて、協定は(1)グアムの施設を整備する移転のための事業にのみ使用(2)移転事業の公正な調達(3)未使用残額の扱いを日米政府が協議する−などを盛り込んだ。