中川昭一財務相兼金融担当相が17日に辞任したことで、世界的な危機克服に向けた経済運営は一段と不透明さを増してきた。追加景気対策に伴う2009年度補正予算をめぐる議論にも影響は必至。政府は4月の第2回20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)に向け、厳しい対応を迫られる。
ローマで先週末に開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、日米欧が「一斉に行動することで効果が高まる」との声明を採択。歳出と減税を最大限に活用した景気てこ入れ策を各国に要請した。
政府は、一刻も早く追加対策の策定に本格着手したい考えだが「09年度当初予算が成立しないと、補正予算の編成を指示できない」(政府高官)。だが、今後も野党の攻勢が予想される国会審議は波乱含みだ。
河村建夫官房長官はこの日、すでに成立した08年度第2次補正予算を可能な限り前倒しして執行すると説明。3月期末に向け景気下支えを急ぐ構えだ。
一方、国際会議の日程はめじろ押しだ。3月には金融サミットの準備会合に位置付けられるG20財務相会合が英国で開催されるほか、4月には再びG7、5月にはアジア開発銀行の年次総会が開かれる。
与謝野馨経済財政担当相が後任に決まったものの、一連の国際会議への出席は「文字通りの激務」(財務省幹部)。重要3ポストを与謝野氏に集中させる麻生太郎首相は、かつて体調を崩し療養経験もある同氏に重い負担を強いることになる。